第75話 彼女が終章を踊り終えると会場は喝采に包まれ、咲良はなおも諦めず舞台に駆け上がり無実を訴える

九条凛は一歩ずつ舞台中央へ歩みを進めた。

参加者たちは皆、その場に立ちすくんだ。

遠野咲良はとっくに笑みを崩し、じりじりと近づいてくるその姿を凝視していた。唇が勝手に震える。「違う……どうして彼女が……何をするつもりなの……」

九条結衣は咲良の少し後方に立ち、表情を何度も変えた。咲良よりもよくわかっている——凛は無意味なことなど決してしない。

だが、長年ひそかに崇拝してきた「朧月夜」という名が、目の前の凛と少しずつ重なったとき、結衣は頭皮が痺れる思いだった。

凛はニックからワイヤレスマイクを受け取った。顔を上げて客席を見渡す。その声は冷たく澄み、有無を言わせぬ貫禄があった。

「『幻...

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