第77話 賠償金二十六億。遠野家は凛を養育費請求で提訴へ

「五番目のお兄さん?」

凛は戸惑いを口にした。

「颯太のことよ」

優香の笑みが深くなる。

「あの子、何年もあなたを探していたの。あなた本人じゃなくて、『朧月夜』をね」

凛は一瞬、黙った。

「私を……何のために?」

「あの子はずっと、『朧月夜』に舞の振り付けを依頼したがっていたのよ。高額の仲介料で人を立てて、投資銀行の人脈まで使って、直筆の依頼状をスタジオに送ったりもしたわ。全部、無視されたけれど」

凛の視線は、流れる夜の景色へ戻っていく。

依頼をしてくる人間は多すぎる。知らない番号には出ない。露出の高い公人と組めば、余計なリスクが増える。これまでずっと、そうやって切り捨ててき...

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