第8話 十二年勤めた医師が三分で解任された

凛は慌ただしく駆けつけた院長にスマートフォンを差し出し、一言だけ言った。

「鷹司貴彦様が運ばれてきた瞬間から、見てください」

映像がナースステーションの画面に映し出された。

救急ストレッチャーが運び込まれてくる。鶴田が救急救命エリアの入り口に立ち、最初に下した判断がはっきりと聞こえた──「ただちに開腹、弾片を除去する」。

白髪の専門医は人垣の外れに立ち、十秒も見ないうちに顔色を変えた。

「当時の傷の状態では、その方針は殺人に等しい。止血剤で破裂口が塞がれている段階で減圧すれば、大動脈の血が二十秒で腹腔を満たしてしまう」

専門医は鶴田に向き直った。

「鶴田先生、あなたは救急救命部の部...

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