第85話 沢田が沖村の鼻をへし折り、全てを自白した

琴音は腕の中の紙袋を抱え直し、やや不自然な緊張を含んだ声で答えた。

「予備の新作です。三日後までに内通者を引きずり出せなくても、せめて代理店に出せる形だけはと、みんなで」

一拍置いて、付け加えた。

「ケイティが、デザイナー何人かの夜食代を立て替えてくれたんです」

凛は何も言わず、一人ひとりの顔を眺めた。視線に気づいた者は、思わず背筋を伸ばした。

そのまま中へ進み、手で制した。

「お疲れさま」

たった四文字。淡々とした口調だったが、うつむいた者もいた。何かに突かれたように。

琴音は迷ってから、タブレットを差し出した。画面には新作のスケッチが何枚も並んでいる。線はこれまでと距離を取...

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