第91話 龍介、書斎にて凛が副手で参加すると知り、審査員就任を決意する

結衣が言い終わるか終わらないうちに、優香が湯呑みを置いた。

「結衣」

声は重くない。だが、有無を言わせぬ冷たさがあった。

「自分で不器用だとわかっているなら、余計なことはおやめなさい」

結衣は硬直し、慌てて顔を上げ、すぐにまた伏せた。

「ごめんなさい、お母様。そういうつもりじゃありません……」

優香は結衣から視線を外し、龍介へ向き直った。語調が和らぐ。

「あなたがいない間に、家でもいろいろあったの。凛が戻ってきてからは、会社のことも家のことも、全部あの子が一人で抱えて。愚痴ひとつ、こぼしたことがないわ」

貴弘は箸を卓に置き、深く息をついた。

「あの子は我慢強すぎる。外の連中が...

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