第96話 龍介、マイクを取り、凛を遮る選手を退かせる

会場外の廊下。

桐島芽依が大理石の床に崩れ落ち、凛の腕を掴んで離さない。指先は白く変色していた。

「お願いします、九条さん。私、結衣さんに利用されただけなんです。まさか天井にあんなことを仕組んでいたなんて知らなくて……殴っても蹴ってもいいですから……どうか鷹司さまに、桐島家を見逃してくださるよう、お口添えを……」

凛は目を伏せて彼女を見つめた。腕は動かない。

芽依の涙は本物で、恐怖も本物だった。だが、そのどちらも凛には関係のないものだった。

凛は腕をゆっくりと抜いた。芽依の指はなおも掴む形のまま残り、おぼれる者が最後に見た流木のようだった。

「自分で選んだ道でしょう」凛の声は低く、...

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