第104章

西園寺千枝はソファに一人で腰を下ろしたまま、しばらくぼんやりしていた。するとスマホにメッセージが届く。

『本当に引退するの? 返事して返事して、見てないふり禁止!』

千枝は気だるげに文字を打つ。

『うん』

向こうは途端に焦ったように返してくる。

『やめてよ! 私たち、あなたがいないと無理! 1日だって無理!』

西園寺千枝はくすっと笑い、相手をからかうように何通か軽口を叩き合った。

……

案の定、西園寺直哉は拘置所でほぼ1か月を過ごしたあと、西園寺家の人間に金とコネで引き上げられた。

この1か月、西園寺雪枝は来る日も来る日も泣き暮らし、目は腫れあがっている。

たった1か月で...

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