家族を捨てた私が、冷徹な御曹司の妻になった

家族を捨てた私が、冷徹な御曹司の妻になった

莉緒 · 連載中 · 603.6k 文字

717
トレンド
2.1k
閲覧数
42
追加済み
本棚に追加
読み始める
共有:facebooktwitterpinterestwhatsappreddit

紹介

血のつながった家族に迎えられたはずなのに、私を待っていたのは、偽りの妹ばかりを愛する冷たい日々だった。

どれだけ尽くしても、どれだけ我慢しても、家族は私の言葉に耳を貸そうともしない。

ついに濡れ衣まで着せられた私は、決意した。

もう、この家族はいらない。

すべてを捨てて家を飛び出した私の前に現れたのは、かつて祖父同士が決めた婚約者、名門財閥を率いる、冷徹な御曹司だった。

「今日、結婚しよう」

突然のプロポーズに戸惑いながらも、私は彼と結婚することに。

ただし、夫婦でいるのは一年間だけ。期限が来たら、きっぱり別れる約束だ。

ところが、昔から何かと私に突っかかってきた彼は、なぜか今になって優しくて?

怪我をすれば薬を用意し、私が困ればさりげなく手を差し伸べる。そんな彼の態度に、私は少しずつ調子を狂わされていく。

一方、私を追い出した家族は、私が名門財閥とつながっていることを知り、態度を変え始めて……

もう二度と、あなたたちの都合のいい妹にはならない。

家族に捨てられた令嬢と、秘密めいた溺愛を注ぐ冷徹御曹司。

一年限りの契約結婚から始まる、甘くて波乱に満ちた逆転ラブストーリー。

チャプター 1

「西園寺千枝、跪きなさい! 紗良に頭を下げて謝れ!」

男の冷たく刺々しい声が、だだっ広いリビングに響き渡った。

西園寺千枝は部屋の中央に立ったまま、長い睫毛をわずかに伏せる。ポケットの奥に忍ばせた録音器を指先でぎゅっと握りしめ、ソファにふんぞり返って命令を下す男を見た。西園寺怜司。

その隣に座るのは、西園寺家の「娘」として扱われているが血のつながりはない、いわゆる偽の令嬢――西園寺紗良。

いま、実の兄が、彼女に向かって「西園寺紗良へ跪いて叩頭しろ」と言っている。

「西園寺千枝! わざと紗良を階段から突き落としたくせに、どれだけ性根が腐ってるんだ?! 畜生以下だ!」

「俺、西園寺怜司にお前みたいな妹はいない!」

畜生以下――。

千枝の睫毛が震えた。胸の奥を締めつけるような息苦しい痛みを押し込み、かすれた声で言う。

「私は……してない……」

だが言い終える前に、怜司は脇のコップを掴み、容赦なく投げつけた。

「まだ言い訳する気か!」

ガシャンッ!

コップは千枝の足の甲に当たり、粉々に砕け散る。

白く薄い足の甲がみるみる赤く腫れ、ガラス片が皮膚を突き破って、細い脛をいくつも切り裂いた。透けるような肌に滲む鮮紅――目を背けたくなるほど痛々しい。

それでも千枝は動かなかった。痛みなど感じていないかのように、ただ立ち尽くす。

こんなふうに、実の兄に殴られ罵られるのは、初めてではない。

「怜司兄、お願い……お姉ちゃんを叩かないで!」隣の紗良が慌てて口を挟む。「お姉ちゃんがわざと私を突き落としたわけじゃないの……本当に。今回のことはお姉ちゃんのせいじゃない。責めないで……私が不注意だっただけ……」

怜司はたちまち顔を曇らせ、痛ましげに言った。

「紗良、お前はどうして今になってもあいつを庇う? 俺の馬鹿な妹だ。女の子が階段から落ちて、傷跡が残ったらどうする。どれだけみっともないか分かってるのか」

「でも、怜司兄……」

「いい。紗良はいい子にしてろ。もうあいつの肩を持つな。ほら、怜司兄に見せて。どこか打ったか?」

「大丈夫……心配しないで……」

目の前で繰り広げられる「優しい兄と健気な妹」の光景に、千枝は突然、どうしようもなく疲れた。

怜司は「女の子に傷跡が残ったら可哀想だ」と紗良を案じる。

では、さっきは?

何の躊躇もなくコップを投げつけたのは誰だ。

脚はまだ血を流している。傷跡が残るかもしれない。

彼女だって女の子だ。しかも、彼の実の妹なのに。

千枝は幼い頃に家族と離れ、孤児院で育った。のちに祖父母に引き取られ、そこで大事に育てられてきた。

甘やかされていたわけじゃない。それでも、こんな扱いを受けたことは一度もなかった。

怜司が紗良を気遣い終え、ふと視線を戻すと――千枝の整った艶やかな顔に、薄い嘲りが浮かんでいるのが見えた。

途端に不機嫌そうに眉を寄せる。

「その顔はなんだ」

「西園寺千枝。二年前にお前を西園寺家へ連れ戻した時、言ったはずだ。紗良はここで育った。血がつながってなくても、お前は実の妹として扱えって」

「姉なんだから、譲ってやれ。可愛がってやれ。守ってやれ!」

「なのにお前は、この二年で何をした!」

千枝は唇の端に苦い笑みを滲ませた。

二年前、西園寺家が彼女を見つけた時、祖父母はすでに他界していた。

やっと家族ができる――もう独りで生きなくていい。

そう信じて、祖父の生前の友人の誘いを断り、西園寺家へ来た。

この二年、千枝は息を潜めるように暮らした。譲れるものはすべて譲った。何でも紗良に一番いいものを差し出した。

自分は、紗良の後ろを卑屈に付き従い、彼女が要らないものを拾うように生きた。

そうすれば、いつかこの家に溶け込めると思った。

両親と兄たちが、自分を本当の家族として受け入れてくれると。

だが現実は違った。

彼らが偏愛するのは紗良だけ。実の娘である千枝に向けられたのは、尽きない非難と罵倒だった。

ある日、千枝は偶然聞いてしまった。

毒々しく、心底うんざりした声でこう言うのを――

「西園寺千枝なんて、外で死んでくれてたらよかったのに。そうすれば家族は完璧だった」

外で死んでくれてたらよかったのに――。

その言葉を聞いた瞬間、胸がぎゅっと潰れた。大きな手で心臓を握りつぶされるように痛くて、息ができなかった。

自分が何をしたというのか。

どうして家族にここまで嫌われる。

死んでほしいとまで思われるほどに。

だったら、二年前、なぜ連れ戻したのか――。

千枝はそっと目を閉じた。

心が水面のように凪いでいく。これまでにないほど静かで、冷たい平穏。

もういい。

この家はいらない。

この家族も、全部いらない。

なぜか怜司は、千枝が何かを手放したように見えて、胸がざわついた。

彼女の表情は、肩の荷が下りたように澄んでいて――まるで繭を破って生まれ変わった蝶のようだった。

理由もなく焦りが込み上げる。

怜司は脇の鞭を掴み、振り下ろそうとする。

「紗良に叩頭して認めないなら、家法で叩き直してやる!」

だが次の瞬間、その手首が細い手にしっかりと掴まれた。

千枝だ。

――止めた?

「西園寺千枝、お前……!」

怜司は苛立ちを露わにする。二年間、怯えながら媚びるだけで、殴られても黙っていた女が、反抗するなど。

驚愕する兄の顔を見て、千枝は艶やかな顔で薄く笑った。

「言ったはず。私は紗良を突き落としてない」

怜司は鼻で笑う。

「まだ言い訳か? 殴られ足りないんだな!」

「西園寺怜司」千枝の瞳は氷のように冷え、感情の色が消えた。「私が突き落としてない証拠を出せたら――」

「あなたと紗良が、私に跪いて叩頭して謝って」

「……は?」

怜司は耳を疑い、怒りで顔を歪めた。

「俺に跪けだと? ふざけるな! お前……この罰当たりが!」

ソファで成り行きを見物していた紗良は、千枝が殴られるのを期待していた。だが「証拠」という言葉に、瞳の奥に疑念が浮かぶ。

証拠?

あるはずがない。

紗良は内心で冷笑しながら立ち上がり、健気なふりをして言った。

「怜司兄、もういいよ。お姉ちゃんと喧嘩しないで……」

「紗良、庇うな!」怜司は青筋を立てて怒鳴る。「見せてもらおうじゃないか。どんな証拠を出すのか!」

千枝は淡々とポケットに手を入れ、ひとつの物を取り出した。

紗良がそれを見た瞬間、顔色が真っ青になる。

録……録音ペン――?

どうして。

どうして千枝がそんなものを……!

千枝は無表情のまま再生ボタンを押した。

ジジッ、というノイズのあと、わざとらしく弱々しい女の声が流れる。

『お姉ちゃん、この位置ってどう?』

怜司は一発で分かった。紗良の声だ。

続いて、澄んだ女の声。

『紗良、階段のところで何してるの?』

千枝の声――。

そして次の瞬間。

『お姉ちゃん、私が「お姉ちゃんに突き落とされた」って言ったら、怜司兄はどんなふうに罰して、どんなふうに罵るかな?』

最新チャプター

おすすめ 😍

極品の入り婿

極品の入り婿

3.8k 閲覧数 · 連載中 · 佐藤製作所
彼が財産を相続して戻ってきた時、かつて彼を見下していた人々は彼の前にひざまずくしかなかった。
彼女はもう、疲れた

彼女はもう、疲れた

19.2k 閲覧数 · 連載中 · 桜井 ゆい​
夫が妊娠した愛人に惜しみなく注ぐ溺愛のまなざしを、ただ見つめながら、私は医師の言葉を胸の奥で反芻していた――余命は、あと三ヶ月です。

十年ものあいだ、私は幽鬼のようにこの豪邸に閉じ込められ、身を削って家計を支え、彼の吐くその場しのぎの嘘を飲み込み、彼が一片の心も寄せたことのない結婚生活を守り続けてきた。彼は確信していたはずだ、私が逃げ出せるはずがないと。母の癌治療費は、すべて彼の施しで成り立っていたのだから。

それは間違いじゃない。たしかに、金は必要だった。

でも――私はもう、残りの人生すべてを、彼が誰かを愛するのを見て過ごすために生きたくはない。

離婚届は、もうテーブルの上にある。今度こそ、私は懇願しない。縋りついたりもしない。

私が選ぶのは、私自身だ。
竜王の花嫁

竜王の花嫁

5.5k 閲覧数 · 完結 · AT_Imagination
竜王の花嫁になるって、いったいどういう意味なのだろう?


偉大なるイグナス王国を形づくる七つの村では、毎年欠かさず「選定の儀」が執り行われていた。その儀で村の娘のひとりが選ばれ、恐るべき竜王の花嫁となるのだ。

なぜそんな儀を年ごとに続けるのか、誰にもわからない。これまで選ばれていった花嫁たちが、その後どうなったのかも――。

奴隷にされているのか?

竜の餌にされているのか?

それとも……竜王自身が、彼女たちを喰らっているのか?

それだって否定はできない。王は自分たちとは違う、人ではないのだという噂があるのだから。

それでも、その疑問は執念深く人々の胸を苛んだ。

いったい、花嫁を何に使っているのか――!?

だが、誰も王に問いただそうとはしなかった。逆らうなどという無謀が、どんな運命を呼び込むかが怖かったのだ。

もっとも、そんなことはベラドンナの知ったことではない。今年は彼女の村が花嫁を差し出す番だったが、自分が選ばれるはずがないと彼女は確信していた。

なぜかって?

もちろん、計画があるからだ。そして彼女は、その計画が自分を裏切るはずがないと信じ切っていた……いや、本当にそうだろうか。
私が去った日

私が去った日

13.4k 閲覧数 · 連載中 · バラへの愛
七年間、私は完璧な妻を演じ続けてきた。

けれど最後に彼が選んだのは、私ではなく、彼の初恋の女性だった。

夫は、私の心を深く傷つけただけではない。あの女が私の大切なジュエリーデザインを盗むことを許し、さらには実の息子までも操って、私を「怪物」だと思わせた。

嘘で塗り固められた結婚生活の中で、私は少しずつ自分を失っていった。

息が詰まるような日々。愛されていると思い込んでいた時間。すべてが偽りだった。

けれど、彼らはひとつだけ間違えた。

私を、もう戻れないところまで追い詰めたこと。

私が去ると決めたあの日。

私は、最低な夫も、母親への感謝を忘れた息子も、そして彼らによって壊された過去の自分も、すべて置き去りにした。

親友の支え。そして、私の本当の価値を見抜き、才能を認めてくれたある若き実業家との出会い。

その温かな手によって、私はもう一度、自分自身を取り戻した。

失った誇りを取り戻し、眠っていた才能を開花させ、世界へ羽ばたくデザイナーとして新たな人生を歩み始めた。

今、私の作品は世界の舞台で輝いている。

一方で、かつて私を捨てた男は、跪いて許しを乞う。

「戻ってきてくれ」と。

けれど、もう遅い。

私が去ったあの日こそが、私が本当の自分を取り戻した日。

もう二度と、過去には戻らない。
二百兆円の棚ぼた

二百兆円の棚ぼた

3.4k 閲覧数 · 連載中 · 文机硯
配達で生計を立てるダメ男、弓場風太郎は、彼女に裏切られ、御曹司に金で辱められた。

彼が絶望の淵にいるまさにその時、突然、思いもかけない横財、十兆円が舞い込んできた。

そこから、彼は逆転の人生を歩み始め、大富豪への道を邁進していく……
元恋人の叔父に拾われた夜、私は彼という名の「毒」に溺れる

元恋人の叔父に拾われた夜、私は彼という名の「毒」に溺れる

11k 閲覧数 · 連載中 · 南宮
元恋人に裏切られ、冷たい玄関先で殺意を向けられたあの日。
私を見捨てた男ではなく、彼が一番恐れていた「危険な叔父」が、暗闇から現れた。
その腕の中だけが、この二年で初めて私を孤独から救い出した。
「次、誰かが君を傷つけたら、こうするんだ」 渡された銃の重みが、私の心に深く刻まれる。
私は逃げ出したかったはずなのに、いま、彼の甘い視線から離れられずにいる。 救いなどいらない。
ただ、この危険な男の「所有物」になりたい。
離婚後、奥さんのマスクが外れた

離婚後、奥さんのマスクが外れた

346.8k 閲覧数 · 連載中 · 来世こそは猫
結婚して2年後、佐藤悟は突然離婚を申し立てた。
彼は言った。「彼女が戻ってきた。離婚しよう。君が欲しいものは何でもあげる。」
結婚して2年後、彼女はもはや彼が自分を愛していない現実を無視できなくなり、過去の関係が感情的な苦痛を引き起こすと、現在の関係に影響を与えることが明らかになった。

山本希は口論を避け、このカップルを祝福することを選び、自分の条件を提示した。
「あなたの最も高価な限定版スポーツカーが欲しい。」
「いいよ。」
「郊外の別荘も。」
「わかった。」
「結婚してからの2年間に得た数十億ドルを分け合うこと。」
「?」
地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

地獄から帰った私を、頂点の男が甘やかすなんて聞いてない

25.8k 閲覧数 · 連載中 · 三日月プリン
「救うのは妹の方だ。お前は強いから、生き残れるだろう」
十八年間、空気のように扱われ、誘拐事件の際にも迷わず切り捨てられた私。
「強さ」という名の言い訳で死の淵に追いやられた私は、地獄の果てで生き延びた。
そして今、全国民が見守る超人気リアリティショーの舞台に、私は「かつての復讐者」として舞い戻る。
家族が偽りの善人面を振りまく中、彼らの仮面を一枚ずつ剥ぎ取っていく最高のショウタイム。
そんな私を面白がり、盤面をひっくり返す男がいた。冷徹なるF1チャンピオン。彼だけは、私の冷酷な正義を肯定し、その権力で私を囲い込む。
さあ、復讐劇の始まりよ。私を「可哀想な犠牲者」だと思っていた報い、その身に刻ませてあげる。
人生を謳歌する

人生を謳歌する

2.7k 閲覧数 · 連載中 · 午前零時
大学生である私は、兄の家に住んでいた。兄嫁は魅力的で優しく、彼女のすべてが私が理想とする女性像そのものだった。青春真っ只中の私は、彼女と親密になることを夢見ることが多かった。そのような考えが間違っていることは十分にわかっていたので、できるだけ彼女と接しないようにしていた。しかし、驚いたことに、兄が勃起不全であることを知り、彼らは長い間夫婦生活を送っていないことがわかった。彼女は子供を強く望んでいて、兄が彼女を妊娠させることができないために、何度も涙を流していた。ある夜、彼女は私の部屋に入ってきて、「私に子供を授かってくれないか?」と尋ねた。パニックと興奮の間で、私は彼女の目を見ることができなかった。私はどうすればよかったのだろうか?
運命のゲーム

運命のゲーム

7.6k 閲覧数 · 完結 · Dripping Creativity
アミーの狼はまだ姿を現していない。でもそれがどうした?彼女には素晴らしいパック、親友たち、そして愛する家族がいる。アルファを含む皆が、彼女はそのままで完璧だと言ってくれる。しかし、運命の相手を見つけた彼女が拒絶されるまでは。心を痛めたアミーは全てから逃げ出し、新しい人生を始める。もうオオカミも、パックも必要ない。

フィンレイが彼女を見つけたとき、彼女は人間の中で暮らしていた。彼は自分の存在を認めようとしない頑固な狼に心を奪われる。彼女は彼の運命の相手ではないかもしれないが、彼は彼女をパックの一員にしたいと思う。潜在的な狼であろうとなかろうと。

アミーは彼女の人生に入り込み、パックの生活に引き戻すアルファの魅力に抗えない。彼女は長い間感じなかった幸せを見つけるだけでなく、ついに彼女の狼も目覚める。フィンレイは彼女の運命の相手ではないが、親友になる。パックの他のトップ狼たちと共に、彼らは最高で最強のパックを作るために働く。

パックの順位を今後10年間決定するパックゲームの時が来ると、アミーは古いパックと向き合わなければならない。10年ぶりに彼女を拒絶した男性を見たとき、彼女が知っていたと思っていたすべてが覆される。アミーとフィンレイは新しい現実に適応し、パックのための道を見つける必要がある。しかし、この予想外の展開は彼らを引き離してしまうのだろうか?
偽りの仮面

偽りの仮面

12k 閲覧数 · 連載中 · 彩月遥
夫が私に抱くのは、愛の伴わない性的な欲望だけ。
彼は、私との間に子供を授かることさえ望んではいない。

そればかりか、外では他の女性と戯れ、私の心を深く傷つける。

逃げ出したい。強く、自立した女性になりたい。
そう願う私を、しかし、彼が手放すつもりは毛頭ないようだった……。
長年の結婚生活を終わらせたら、夫と息子が泣きついてきた

長年の結婚生活を終わらせたら、夫と息子が泣きついてきた

13.5k 閲覧数 · 連載中 · 白石 茉鈴​
長年の婚姻生活の中で、夫と息子の目に映る私は、ただの「最大の恥」でしかなかった。

あの女のために、何度も私を置き去りにした二人。そして今回の件で、私はようやく完全に目が覚めた。

彼らは、私の愛を受け取るに値しない。

だから私は、正式に離婚協議書を差し出した。
すると、あろうことかこの二人は、声を揃えてこう言ったのだ。
――本当に深く愛していたのは、私の方だった、と。

ふん、今さら一体、何の真似のつもりかしら。