第109章

西園寺千枝は一条瑾人から届いたメッセージを見て、眉をひそめた。ひとつ前は「ヤバいことになった」。その次は、にやにや笑う顔文字。

――大事じゃないわね。

千枝は指先で打ち返す。

「ヤバいって言ってるのに笑ってるの? 何があったの」

瑾人からの返信は秒だった。

「待って! 今すぐ黒瀬家行く! 5分!」

「……」

きっかり5分。

玄関が乱暴に開き、一条瑾人が嵐みたいに駆け込んできた。リビングに足を踏み入れるなり、開口一番。

「俺の兄貴は?」

ソファに腰を下ろしていた千枝は、ふわふわのクッションを抱えたまま答える。

「書斎。急ぎの仕事があるみたい。冬真に用?」

瑾人は手をひら...

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