第121章

西園寺千枝は大スクリーンに映し出された橘薫のデザインを見つめても、表情はほとんど揺れなかった。審査員が彼に何点をつけるか――だいたいの見当は、もうついている。

視線を戻した瞬間、橘薫の目とぶつかった。

千枝はわずかに目を瞬かせ、それからふっと口元をゆるめて微笑む。

橘薫もつられるように唇の端を上げた。その笑みは、三月のいちばん穏やかな春風みたいに柔らかい。

橘薫のプレゼンが終わり、採点へ。

五人の審査員が短く協議し、最終的に出した点数は9.5だった。

その数字を見た千枝は、なるほど、と眉をわずかに上げる。予想通り。

客席は一斉に空気が沈んだ。落胆が波紋のように広がっていく。

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