第128章

西園寺千枝が一条瑾人を連れて個室を出ると、ちょうど菅野徹が電話を終えて戻ってきたところだった。

「もう戻る?」

菅野徹はスマホをポケットにしまいながら、何気なく尋ねる。

千枝は首を横に振り、口を開きかけた――そのとき、視界の端に西園寺直哉の姿が映った。階段の踊り場に現れたところを見るに、三階から下りてきたばかりらしい。

下りてきたのは直哉ひとり。

西園寺紗良と井前和纮は、まだ三階の個室にいるのだろう。

直哉もまた、千枝と瑾人に気づいた。

今日は機嫌がいいのか、わざとらしく挑発するように近づいてくる。厳しく整った顔立ちには、見下すような傲慢さと、勝ち誇った色が滲んでいた。

「一...

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