第138章

宴会場は最先端のトレンドをこれでもかと詰め込んだような設えで、見渡すかぎり人、人、人。香水の匂いと艶やかなドレス、整えられた髪――華やかな熱気が渦を巻いていた。頭上では巨大なシャンデリアが眩い光を降らせ、脇のラウンジスペースに並ぶ椅子でさえ、わざと歪ませたような不規則なフォルムで「洒落」を主張している。

その中で、やけに視線を集める椅子が一脚あった。

背もたれに貼られた、たった二文字。

「枝」

それだけで、場の空気がざわつく。

枝本人はまだ姿を見せていない。それでも記者たちは、まるで獲物を囲むようにその椅子へレンズを向け、角度を変えてはシャッターを切りまくっていた。誰より早くネット...

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