第15章

西園寺千枝は「すっ」と小さな顔をひねり、黒瀬冬真を見た。澄んだ瞳いっぱいに、驚きと不思議が揺れている。

「さっき、長崎健を下に行かせたのは自分じゃないって言ったじゃない!」

黒瀬冬真「……」

彼は無表情のまま長崎健を一瞥した。

長崎健の胸に残っていた高揚は、まだ消えきっていない。なのに背中に、ひやりとしたものが走る。

え、なにこれ。

俺、何か変なこと言った……?

こういうオークションの品は、たいてい安いものから順に出て、後半にいくほど値が跳ね上がる。

いま競りにかけられているのは、アンティークのピアノだった。

中世から現代まで残ったという触れ込みで、値は張る。開始価格だけで...

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