第150章

雪見裕也は資料の一行目を目にしただけで、眉間に皺を寄せた。

そこにはこうある。

――西園寺千枝、既婚。婚姻相手、黒瀬冬真。

雪見裕也「?」

西園寺千枝が、結婚している?

しかも、黒瀬冬真と?

黒瀬冬真の名を知らないでいるほうが難しい。黒瀬家の権勢は各地に張り巡らされ、雪見家も黒瀬家とはこれまで何度も関わってきた。

だが――たとえ相手が黒瀬冬真のような、手の届かない大人物だとしても。

雪見裕也の胸には、言葉にしづらい身内びいきが湧いた。

水のように瑞々しい妹を、誰かにさらわれたような気がしてならない。

雪見裕也はその妙な感情を押し込み、資料を読み進めた。

二つ目の項目を見...

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