第16章

オークションが中盤に差しかかった頃、司会の女性が慎重に壇上へ上がり、一幅の日本画を掲げて披露した。

競売人が声を張り上げる。

「皆さま、ご注目ください! こちらの『霞』は、現代を代表する画家・宮本晃先生の絶筆にして、円熟の技が凝縮された最高傑作でございます! 日本画がお好きな方は、どうぞお見逃しなく!」

西園寺千枝はそれを聞いた途端、ぱっと目を輝かせた。

祖父は生前、屈指の日本画家だった。大金を積んででも祖父の墨跡を求める者は後を絶たなかったが、祖父はそうした願いをことごとく退けてきた。千枝は文字どおり、絵に囲まれて育ったのだ。

そして宮本晃という名は、祖父の生前の友人のひとりでも...

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