第165章

遠くて西園寺千枝と西園寺紗良が何を話しているかまでは聞こえない。それでも記者たちはカメラを構えたまま、ひたすらシャッターを切り続けていた。

こちらでは――。

西園寺千枝は西園寺紗良を見据え、表情ひとつ変えずに問いかける。

「私に、公開で謝罪するって?」

西園寺紗良は遠くの記者たちが撮っているのを知っている。だからこそ、顔には上品な笑みを貼りつけたまま答えた。

「ええ」

西園寺千枝は視線を落とし、自分の爪先を一瞥する。まるで興味がないという調子で続ける。

「さっきカメラの前で、『許してほしい』って言ってたわよね?」

西園寺紗良は指をきつく握りしめ、黙り込んだ。

西園寺千枝の前...

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