第166章

【ベイビー、久しぶり】

西園寺千枝はそのメッセージを見た瞬間、顔をくしゃっとしかめた。「ベイビー」なんて曖昧な呼び方に心は一ミリも揺れない。ただ、頭が痛くなるだけ。疲れるだけ。

登録のない番号。見知らぬ相手――のはずなのに、誰かは分かっていた。

沈の姓を名乗る、あのクソ野郎以外にいるわけがない。

最初は無視するつもりだった。見なかったことにして放っておく。

ついでに着信拒否しようとして、手が止まる。拒否したところで無駄だ。あいつは、どうせ別の手で連絡してくる。

数秒考えた末、千枝はさっさと片をつけることにした。いつもの切り札――既婚である事実を、もう一度突きつける。

無表情で打...

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