第175章

皆の視線が、いまにも姿を現すローレンスに釘づけになっている隙を突き、一条瑾人は西園寺千枝の袖を引いて、小声で問いただした。

「今日、嵐に会ったって言ったよな? いつ?」

千枝は少し考えてから、至って真面目に答える。

「今朝」

――朝、洗面台で顔を洗って、鏡を見たとき。

鏡の中に映っていた自分の顔を、彼女は確かに見ている。

菅野徹がぱっと顔を輝かせた。

「マジかよ、千枝! お前、車神・嵐と知り合いなのか! なあ、今度紹介してくれよ。俺、ずっと会ってみたかったんだ!」

「いや、待って」

西本七海が顎に手を当て、記憶を巻き戻すように眉を寄せる。

「西園寺千枝、今日ずっと一緒だっ...

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