第177章

西園寺隼人は、西園寺千枝が提示した賭けを聞いた瞬間、まず疑った。――こいつ、何か企んでるんじゃないか?

だがすぐに思い直す。千枝はさっきから何だかんだ理由をつけて勝負を避けていたし、「もうレースはしないって人と約束した」などと、笑えない言い訳まで持ち出していた。

それが今さら「負けたほうが土下座して許しを乞う」だと?

要するに、わざと大げさな条件を突きつけて、自分をビビらせて引かせたいだけ――そういうことだろう。

(くだらねえ)

隼人は鼻で笑った。

他の分野ならともかく、サーキットの上なら話は別だ。自分の腕と感覚には、揺るぎない自信がある。

それに、勝負をふっかけたのは自分のほ...

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