第183章

「千枝……?」

一条瑾人は床に落ちているスマホを拾い上げ、部屋の中をぐるりと見回した。だが、どこにも人影はない。

外に出たのか?

――いや、違う。外出ならスマホを落としたままにはしない。しかもドアが開けっ放しだ。

胸の奥が、ずしりと沈む。

まさか……本当に何かあったのか。

昨日、千枝は川沿いで人波に押し流され、はぐれた。そのあと路肩で雪見寒と遭遇している。

一条瑾人の目つきが鋭くなる。踵を返すと、そのまま部屋を飛び出した。まずは雪見裕也と雪見寒のところへ――千枝が彼らを頼っていないか確かめるために。

     *

その頃、雪見裕也の部屋。

雪見寒はソファに腰を下ろし、DN...

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