第207章

「西園寺隼人……全部お前のせいだ。千枝はあれだけの天才ドライバーだったのに、もう二度とレースに出られなくなった!」

西園寺怜司は右手の棒をぎゅっと握りしめた。手の甲に青筋が浮き、怒りのままに振り下ろす――!

それでも西園寺隼人は、身じろぎひとつしない。

西園寺奏真は両手で目を覆い、指の隙間からこっそり覗く。怜司兄が躊躇なく叩きつけるのを見て、驚きに口をぱかりと開けた。

棒が隼人の右脚まであとわずか――二寸ほどに迫った、その瞬間。

怜司の腕が、ぴたりと止まった。

「怜司兄……?」

奏真はぽかんとした顔で、何が起きたのか理解できない。

怜司は棒を放り投げ、怒りに燃えた目で隼人を睨...

ログインして続きを読む