第210章

西園寺千枝は採血を終えると、VIPラウンジの椅子に腰を下ろした。

今回のDNA鑑定も、雪見寒が連れてきた村山先生が担当している。

村山先生は長年雪見家と仕事をしてきた人物で、腕も確か、経歴も申し分ない。さらに雪見家が「行方不明になった小さなお姫さま」をずっと探し続けていることも知っていた。

「千枝」

雪見裕也が千枝の右隣に座り、彼女の腕に残る採血の針跡を見つめた。白磁のような肌に小さな点がやけに目立って、思わず眉間が寄る。

「腕、まだ痛むか?」

「痛くないよ」

西園寺千枝は首を振り、血色のいい唇の端をふわりと上げた。

「ほんとに平気。心配しないで」

注射は怖くない。それに、...

ログインして続きを読む