第214章

一条瑾人はソファから立ち上がり、眉をひそめた。

「村上、今度はどんな絵を手に入れたんだ?」

村上は慌てて背後の助手に目配せする。

助手は長方形の箱を両手でそっと抱え、慎重に蓋を開けた。中に収まっていたのは、巻かれた古画だった。

「西園寺さん、突然お邪魔して申し訳ありません!」

村上は助手から画を受け取り、西園寺千枝の前まで進む。

「この絵は、うちの競売会社の鑑定士8人が揃って真贋を断定できませんでした。ですので、ぜひ一度、西園寺さんに見ていただきたくて」

西園寺千枝の祖父は生前、最高峰の水墨画家として名を馳せ、名画の蒐集もしていた。千枝は幼い頃から書画に囲まれて育ち、祖父の教え...

ログインして続きを読む