第26章

だが、西園寺紗良の今期の出来は素晴らしかった。紅の衣をまとい、絹扇を手に、優美で気品ある古典の絹扇舞を舞ってみせたのだ。

絹扇舞は難しい。とりわけ紗良の扇には長い絹がついている。ひと振りでも加減を誤れば、すぐに乱れてミスになる。

それでも紗良の所作は正確で、扇から放たれる絹は水の流れのようにしなやかに走った。

一つ一つの動きが完璧。ミスは一度もない。

表情に至っては、観客の感情を引っ張る力があった。

踊り終えると、紗良は客席へ向けて深く一礼する。

ぱあっと、客席に熱い拍手が広がった。

配信のコメント欄も、称賛で埋め尽くされる。

『いいねいいね! 紗良、今日は準決勝よりさらに良...

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