第33章

西園寺紗良が駆け寄ってきたとき、西園寺怜司は廊下に立っていた。彼女は彼の姿を見つけるなり、目元がたちまち赤く染まり、悔しさを滲ませて訴える。

「怜司兄、さっき桐生先生、ステージの上であんなふうに私に……なのに、お姉さまのことはあんなに気に入って……」

「お姉さまって、どうして何でも私から奪うの。私がずっと、桐生雅代先生に弟子入りしたいって思ってたの、知ってるくせに……」

紗良が涙をこぼすのを見て、怜司は昔みたいに慰めてやりたくなった。西園寺千枝をこき下ろして、思いきり味方をしてやりたくもなる。

けれど口が、鉛でも流し込まれたみたいに重い。どうしても開かなかった。

怜司は唇を引き結び...

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