第38章

西園寺宗一郎は西園寺直哉の言い分に一理あると感じたのか、小さく頷いた。

「明哲。今すぐあの死に損ないに電話しろ。俺の意向だと言っていい。西園寺家に戻るのを認める」

西園寺怜司に言われても戻らなかったのなら、父親である自分が「戻れ」と言ってやる。これ以上ないほど面子を立ててやった、というつもりなのだろう。

その施しみたいな口ぶりを聞きながら、怜司の胸中は明るくなかった。まるで西園寺家が少しでも情けをかければ、西園寺千枝が尻尾を振って戻ってくるとでも思っているみたいで。

直哉はスマホを取り出し、千枝に発信する。

表示されたのは――拒否。

いつも冷静な直哉の顔に、信じられないという色が...

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