第47章

「怜司兄」

その呼び方を耳にした瞬間、西園寺千枝は露骨に眉をひそめた。

西園寺怜司が駆け寄り、千枝の目の前で立ち止まる。後悔と罪悪感で塗りつぶされた視線。唇が小刻みに震え、泣き出しそうな声になった。

「千枝……俺が、間違ってた……お前を疑った……」

その言葉に、一条瑾人の瞳が冷えた。鼻で笑い、吐き捨てる。

「今さら気づいたのか? 遅すぎるだろ」

怜司は苦しげに顔を歪める。

「俺は紗良に騙されてたんだ……助けてくれたのが千枝だなんて、知らなかった。もし知ってたら――」

瑾人の表情は、さらに露骨に軽蔑へ傾いた。

彼は一度、千枝を見た。千枝の顔には嫌悪が浮かんでいる。怜司の存在そ...

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