第49章

「……もういい、言わなくていいっ!」

黒瀬冬真が言い終えるより早く、西園寺千枝は堪えきれずに飛びついた。勢いのまま彼の口を塞ごうとして――

その瞬間、冬真は両腕を広げ、彼女をまるごと受け止める。

やわらかな細腰を抱き寄せたまま、伏せた視線で千枝を見下ろし、愉しげに笑った。どこか色っぽい。

「千枝、怖いな。人の話、最後まで聞かせてくれないのか」

さっきは口を塞ぎ損ねて、手のひらが顎に当たっていた。千枝は慌てて手を上へずらし、今度こそ唇を押さえる。

「まだ言う!」

口を塞がれても、冬真は眉を気だるげに持ち上げただけで、抵抗しない。

好きにしろ、と言わんばかり。いくらでもいじめてい...

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