第63章

老人は目を丸くした。

「どうして知ってるんだ? 玉響は千枝に渡したが……どこで聞いた?」

同姓同名の可能性もある。鳴海玄堂は慎重に確かめた。

「あなたの言う千枝って、あの女優の西園寺千枝さんですか?」

黒瀬鶴臣は胸を張る。

「当たり前だろ! 千枝はうちの大スターだ!」

西園寺千枝「…………」

おじいちゃん、私のどこが大スターなの。

デビューしたばかりなのに。

そのやり取りを聞いた西園寺奏真は、顔の表情が一瞬で固まった。目を見開いたまま、滑稽なほど間の抜けた顔になる。

胸の内は、調味料の瓶をひっくり返したみたいにぐちゃぐちゃだ。

あの三十億の千年古琴が――

まさか……本...

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