第67章

西園寺千枝はすぐさま駆け寄った。そこには、長崎健に肩を貸されている黒瀬冬真の姿があった。

男は眉間に深い皺を寄せ、今にも崩れ落ちそうにふらついている。顔色は悪く、息も浅い。見ているだけで、相当つらそうだと分かる。

「どうしたの?」西園寺千枝は目を見開いた。「さっきまで平気だったじゃない」

「西園寺さん」長崎健がすかさず口を挟む。「黒瀬社長が体調を崩されました。お部屋までお支えいただけますか。こちらで家庭医に連絡します」

「……分かった」西園寺千枝は男の腕を取った。

長崎健は手を離すなり、そそくさと姿を消した。

医者? 何を言ってる。

西園寺さんがいれば、薬なんていらないだろ。

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