第70章

西園寺奏真は、本来なら二か月後にアルバムを出す予定だった。だがわざと一か月前倒しにし、西本七海と同じタイミングで新曲をぶつける。狙いはただひとつ――西本七海を叩き潰すためだ。

先日のバラエティでは、自分と西本七海の馬が同時に暴走した。そのとき西園寺千枝は、よりにもよって西本七海を助け、実の兄である自分は見捨てた。

それだけじゃない。西本七海は西園寺千枝を庇い立てし、奏真に向かって「犬」だの、「ションベンして鏡でも見てこい」だの、余計な口を叩いた。

思い出しただけで腹が煮えくり返り、西園寺奏真は苛立ちのまま机を叩いた。

だから今回、発売を前倒しにした。

自分の新曲の売上が西本七海を上...

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