第79章

西園寺千枝は居心地悪そうに黒瀬冬真をちらりと見て、「先にお風呂入ってくる」と言った。

そう言うなり、着替えを抱えてバスルームへ消える。

――とはいえ、黒瀬冬真と同じベッドで眠るのは、これが初めてじゃない。

前にリゾートの山荘へ行ったとき、彼女は酔いつぶれて、翌朝目を覚ましたら黒瀬冬真の腕の中だった。

あのときは酔っていた。けれど今は、意識がはっきりしている。だからこそ、どうしても落ち着かない。

シャワーを終えて出ると、黒瀬冬真は窓辺に立ち、電話をしていた。仕事の話らしい。

千枝は何も言わず、タオルで髪を拭きながら静かに待つ。

彼は彼女が出てきた気配にすぐ気づいたのだろう。受話器...

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