第84章

西本七海は、西園寺奏真の射撃の腕を知っている。以前、バラエティ番組で披露していたのを見たことがあるし、出来もなかなかで、それでファンを増やしたほどだ。

けれど比べるなら――明らかに、西園寺千枝のほうが上だった。

たとえばさっき。千枝は的に星形を撃ち抜き、さらに「2」の形まで作ってみせた。もう「狙った場所に当てる」どころじゃない。「当てたい場所を選べる」域にいる。

奏真がどれだけ努力しても、五十年じゃ追いつけないだろう。

なら、この勝負は千枝が勝つ。結末は見えている。

……ただ、勝ったら西園寺家に戻れる、というのは。

七海は千枝の表情を盗み見た。眉間に皺が寄っていて、露骨に不快そう...

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