第86章

「失礼いたします、お客様。こちらの建物はVIPのお客様のみご入場いただけます。何卒ご了承くださいませ」

VIP――?

西園寺紗良の顔色が、みるみる悪くなった。

そもそもこの手のクラブに来られる時点で、金か、家柄か、どちらかは持っている。なのに、その中でさらに「格付け」があるというのか。

ここはVIPだけが出入りできる場所。

つまり、金だけじゃ足りない。肩書きと地位が要る――そう言われているのと同じだ。

西園寺千枝は入れて、自分は入れない。

それは紗良の虚栄心に、刃物を突き立てられるような屈辱だった。いちばん耐え難いこと。

紗良は道を塞ぐスタッフをきつく睨みつけ、胸の内で苛立ち...

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