第9章

長崎健は空気を読むのがうまい。さっとスマホを差し出した。

――ああ、そうだ。黒瀬社長はずっと、西園寺さんのこの試合を気にしていた。

ただ、西園寺さんはくじ運が悪く、出番は最後。長いこと待たされることになった。

だからこそ、彼女がステージに姿を現した瞬間、長崎は即座に黒瀬社長へ知らせたのだ。

黒瀬冬真は、スマホ画面の配信に目を落とす。

白い衣装をまとって登場した西園寺千枝は、息を呑むほど美しかった。

――だが、画面を流れていくコメントを見た瞬間、黒瀬冬真の眉がほんのわずかに寄る。

嫁?

コメント欄が、西園寺千枝にプロポーズだと?

西園寺千枝は――俺の妻だ。

◇

会場。

...

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