第97章

西園寺千枝は無表情のまま、西園寺雪枝のインタビュー動画を閉じた。

次の瞬間、温かな手のひらがふわりと肩を抱き、労わるようにそのまま胸の中へ引き寄せられる。

黒瀬冬真は、少女の細い背を抱きしめた。瞳の奥の痛みが、今にも溢れそうだった。

「千枝……」

西園寺千枝ははっとする。清潔で温かな腕の中、耳元で響く力強い鼓動。――そのぬくもりが、思いのほか心地よくて。ほんの一瞬、縋りたくなった。

幼い頃から外で暮らし、祖父母に育てられてきた。

だからこそ、何度も想像した。自分に父と母がいたら、どんなふうなのだろう、と。

ほかの子が両親に手を引かれているのを見るたび、こっそり羨ましくもなった。...

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