第137章

「パニック発作なんて抱えていたこと、今まで一度も知らなかったわ。本当に知らなかった……これが初めてなの」

小林海は小さく頷き、彼女を宥めるように言った。

「安心して。パニック発作は決して小さな問題じゃないけれど、かといって致命的な大問題ってわけでもないから。主に患者の精神状態が強い刺激を受けたり、心の奥底に深い傷があったりする場合に起きるんだ。俗に言う、心的外傷後ストレス反応ってやつだね」

心的外傷後ストレス反応……。

渕上純の瞳から光が消える。心臓を見えない巨大な手で鷲掴みにされたような感覚。その瞬間、彼女は何かを悟ったようだった。

意識を失う直前の記憶——それは、出田竜...

ログインして続きを読む