第138章

再び目を覚ましたとき、すでに日は午後に傾いていた。渕上純がゆっくりと瞼を持ち上げると、ベッドの脇には小林海が付き添っていた。彼女の覚醒に気づいた小林海は、ゆっくりとベッドの背もたれを起こし、労わるような声をかけた。

「どうだい? 体の具合は少しは落ち着いたかな」

小林海に言われて初めて、渕上純は呼吸の苦しさが随分と和らいでいることに気がついた。彼が指摘してくれなければ、自分では気づかないほど自然な変化だった。

「ずいぶん楽になりました。まだ胸のつかえは感じますけど、息苦しさはかなり引いたみたいです」

小林海は安堵の息を吐いた。

「酸素吸入器が効いたようだね。医者からはいつ目が覚める...

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