第143章

宴会の前日はちょうど週末に当たっていた。中村瑞が車で迎えに来ると、渕上純は変に断ったりせず、堂々とした態度で同行した。

高層ビルに到着し、二人はエレベーターで最上階へと向かった。神原文清の話によれば、例のデザイナーはD市の頂にプライベートスタジオを構えているらしい。普段は国内外を行き来し、様々なスタイリングを手掛けている人物だという。

渕上純はずっと男性のスタイリストだと思い込んでいたが、現れたのは女性――それも、ひどく派手で妖艶な女だった。渕上純を見るなり、女の視線は頭のてっぺんから爪先までを値踏みするように舐め回す。渕上純が最も嫌悪する種類の視線だ。こういう手合いに遭遇した時、彼女は...

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