第145章

 渕上純は何も言わず、ただ淡泊な視線を一度走らせただけで、ドレッサーの前に座り込み、手遊びに化粧品を弄り始めた。

 一方、ケリーはなおも何かを言いたげだったが、それを遮るように扉が開き、屈強な黒服のボディガードが四人、土足で踏み込んできた。ケリーは瞬時に狼狽し、全身を強ばらせる。

「ケリーさん。手荒な真似はさせないでいただきたい。荷物をまとめて退去を。会社からの通達は後ほど届くはずです」

 不服そうな顔を見せたケリーだったが、これ以上ここに居座れば悲惨な結末を迎えることを悟ったのだろう。慌ただしく私物をまとめると、渕上純を恨めしげに睨みつけてから部屋を出て行った。

 ボディガードたち...

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