第160章

「斎藤くん、ありがとう」渕上純は心から礼を言った。

斎藤俊は唇を噛みしめた。「ごめん、純ちゃん。知られたくないって分かってたら、あんなこと聞かなかったよ。すごく困らせちゃったよね?」

それを聞いて、渕上純は首を横に振った。「ううん、そんなことないから。気にしないで」

「でも……なんだか元気がないみたいだし。どうしてコンクールのこと、知られたくないのか教えてくれないかな?」斎藤俊はおずおずと尋ねた。

何を言うべきで、何を言うべきでないか、その分別はついている。斎藤俊の人柄は信頼しているが、所詮はただのクラスメートだ。半月もすれば、もう二度と会うこともないだろう。

だからこそ、渕上純は...

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