第170章

小林海の自室。ベッドの上では、小林香理がぴょんぴょんと跳ね回っていた。どうやら彼女も目覚めたばかりのようだ。

「お兄ちゃん、もういい歳なんだからさ、そろそろ彼女作ったら? 私にお姉さんを見繕ってよ。パパもママもいつもいないし、お兄ちゃんもたまにしか帰ってこない。北村さんしか相手してくれないし、私が可哀想だと思わないの?」

小林香理は唇を尖らせて不満を垂れる。その小生意気な表情は、いかにも悪知恵が働きそうだ。

鏡の前で髭を剃っていた小林海は、鏡越しに背後で跳ねる妹を一瞥しただけで、弁護士としての勘から彼女が次に何を言い出すか察しがついた。

「くだらないことを言うなら口を閉じろ。子供が口...

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