第175章

その一言で、神原文清は完全に目が覚めた。彼はきびすを返して部屋から車のキーを取り出すと、それを小林海に差し出した。

「小林海、お前の方が俺より経験があるだろう。盗聴器がどこに仕掛けられているか、見てきてくれないか」

車のキーを受け取ると、小林海は風見紬に冷ややかな一瞥をくれ、短く告げた。

「安心しろ。この件は俺に任せておけ」

そう言い残し、小林海は玄関を出ていった。

その瞬間、風見紬の心は完全に乱れきっていた。拳を固く握りしめ、呼吸さえも荒くなる。

先ほど渕上純を売ったことを認めた時でさえ、これほど取り乱してはいなかった。だが今は違う。本能的な恐怖が彼女を支配していた。

小林海...

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