第178章

病室の空気が、重く淀んでいた。

風見紬は神原文清のスマートフォンの電源を落とすと、彼が入ってくる気配に合わせてそれを脇に退けた。そしてベッドに力なくもたれかかり、虚ろな表情を装う。

「文清……ごめんなさい」

風見紬の目元が、見る見るうちに赤く染まっていく。

男はベッドの傍らに立ち尽くし、表情一つ変えずに言った。

「もう二度と、自殺なんて真似はするな。医者の話では、動脈を傷つけなかったのは不幸中の幸いだったそうだ。もし深手だったら、取り返しのつかないことになっていた」

風見紬は唇をきつく噛みしめた。

「あなたがもう、私を愛していないような気がして……死んでしまいたかったの。もしあ...

ログインして続きを読む