第183章

「着いたのか……こんなに早く……」

神原文清は口の端を少し上げて笑った。

「早くはないさ。お前が寝過ぎただけだ。三時間半も眠っていたんだぞ」

それを聞き、渕上純の顔に気まずさが走る。まさかそんな長時間眠っていたとは、彼女には時間の感覚がまるでなかったのだ。

「ご……ごめんなさい。そんなに長く寝てしまうなんて」

「謝る必要はない。疲れていたんだろう」

神原文清は短くそう言った。

意識がはっきりしてくると、渕上純は新たな悩みに襲われた。時差のことを考えると、彼女が予約していたホテルは昨日の日付になっているはずだ。フランスに到着した今はもう翌日で、予約も送迎サービスも無効になっている...

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