第190章

数多くの視線が、一斉にこちらへと注がれる。

渕上純は呆気にとられ、事態が飲み込めずに立ち尽くした。

「これ……何?」

渕上純が呆然と呟く。

神原文清は何も答えず、ただ軽く手を振ってみせた。すると、黒服のボディーガードたちがさっと道を開け、劇場のスタッフらしき二人の人物が、とてつもなく巨大な薔薇の花束を押しながらこちらへ歩み寄ってくる。

会場からはどよめきにも似た歓声が上がり、多くの人がスマートフォンを取り出して撮影を始めた。現実世界でこれほど大量の薔薇を目にすることなど、ここにいる大半の人間にとって初めての経験であり、その光景はあまりに圧倒的だった。

瞬く間に会場の半数以上の人々...

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