第268章

目を覚ますと、三十分以上が経過していた。渕上純はビクリと肩を震わせる。幸い、浴槽は最新の恒温機能付きで、湯はまだ心地よい温かさを保っていた。

眠り込んでしまったのも無理はない。全身を包み込む湯船があまりに快適すぎたのだ。

まるで生まれ変わったかのように、体の節々の凝りがほぐれ、今日一日の疲れが綺麗さっぱり洗い流されている。

髪を洗い、コンディショナーを馴染ませ、シャワーで体を流し終えたところで――渕上純はハッとした。重大なミスに気づいてしまったのだ。

あろうことか、着替えを持ってくるのを忘れている。

しまった……

しばらく葛藤したが、外からは何の物音も聞こえない。つまり、神原文清...

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