第274章

神原文清とは正々堂々と結ばれたはずなのに。最初の時だって風見紬が介入してきた。それなのに、周囲の目には風見紬が不倫相手だとは映っていない。まるで自分の方が、渕上純こそが不倫相手であるかのような空気が漂っている。

その空気感が、胸の奥をざらつかせた。酷く居心地が悪く、嫌な予感が静かに澱んでいく。

或いは本当に、誰の目から見ても、私の方が「不倫相手」に見えているのかもしれない。

ベッドの傍らに立つ気配が、しばらくそこにあった。なぜ入ってこないのか不思議に思ったが、渕上純に目を開ける勇気はない。狸寝入りだと悟られるのが怖かったからだ。

やがて足音が遠ざかり、明かりが消された。ドアが開閉する...

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