第276章

これは間違いなく、渕上純にとって好機だった。

都合の良いことに、明後日には修了試験が控えている。試験さえ終わってしまえば、翌日にはN市へ直行できる。新幹線を使えば、わずか二十分の距離だ。

火曜日に試験を終え、純は心底から張り詰めていた糸を緩めた。ようやくあの機関(スクール)に通わなくて済む。先の一件以来、成績優秀でありながらも、周囲から向けられる冷ややかな視線や嫌がらせには、もううんざりしていたのだ。

だからこそ、彼女はずっと卒業を、この忌まわしい場所からの脱出を待ち望んでいた。そして今、ついにその時が来たのだ。

その日の夜、彼女は翌日の新幹線の切符を手配し、前乗りすることに決めた。...

ログインして続きを読む