第292章

「そんなに評価が高いのか?」神原文清は微かに笑った。

「当然です。妻として、当たり前のことですから」

いつの間にか、渕上純と神原文清は無意識のうちに──いや、心の底から互いを「妻」と「夫」として認め合うようになっていた。

「ただ、今回の俺の出来は褒められたものじゃないな」神原文清はやるせなさそうに肩をすくめた。本来ならいいところを見せたかったのだろうが、これでは完全に当てが外れてしまった形だ。

渕上純は片眉を上げた。「盛り付ける前に、味見はなさらなかったんですか? あるいは作っている最中に一口も?」

神原文清は首を横に振る。「いや。初めての料理だったから、そこまで気が回らなかった。...

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